■グラデーションをつける 〜その比較■
グラデーションをつける。絵に陰影をつけるとも言い換えられる。思いっきりベーシックな作業ですが意外に奥が深い。
いろんな方法があると思います。目的にあわせて好きな方法でというのが本来の結論だと思いますが、
ここではIllustratorが苦手な部類の「ディ○ニー塗り」のような細かい影付けをするための導入部として描かせてもらいます。(本題は第四回で)

ちなみにあくまでも独断と偏見な方法な為、こんなやりかたもあるのかと思ってくれればよろしかろうかと・・・

【番外】ペイント系の場合

エアブラシを使う。
いきなり番外からというのも何だが、Photoshopやペインターなどのペイント系のソフトで陰影を付ける場合は、亜流はあれどもエアブラシで色を重ねるのが王道かと・・
ベースの画像に対して明るい/または暗い色をエアブラシで色を重ねる。(実際の作業に近い)、ま、レイヤーを分けて上の透明レイヤーで作業するのかな。
自分は中間色の色をベースにして色を重ねていくことが多いかな。
ちなみにこの方法を突き詰めた方が、いろいろ応用できることもあって、絶対に後々役に立でしょうね・・

・例:球体にみせる場合

@円を描く

方法はいろいろあるが、「楕円形選択ツール」を使用して、選択領域を「塗りつぶし」でベースの色を置く。今回は赤(R=255)で。


A影を塗る

「ブラシツール」(エアブラシ機能を有効にして)を選択して、「流量」を6%くらいに抑えて塗ります。
図ではR=200程度でグラデーションにムラがないように塗ってから、徐々に明度を落としながら更に陰影をつけていきます。
どのくらいの精度でやるかは、後々の仕上がりに影響します。

Bライトを入れる

Aと同じように徐々に明度を上げて光があたっている部分を作り出します。
GとBを徐々に上げていけば、単純に陰影がつきますが、光があたって反射しているような効果を持たせる場合は極端にRGBオール255の白で塗ってやっても意外ときれいにできます。
(面倒なのでこれで済ませる場合が多い)

完成。泥臭い作業ですが、割と球形にみえます。
※ここから応用(覆い焼きなんか)を説明するとキリがないので、とりあえず基本中の基本と言うことで・・

【1】グラデーション

Illustratorでは、比較的簡単にグラデーションデータを作成することができます(しかもデータ的にも軽い)ま、ここらへんは得意分野というところでしょう。
ペイント系のところで説明したのと同じように赤い球体を作る手順で、Illustratorのグラデーションデータの作成手順を説明します。

例:イラレのグラデーションを使う

@円を描く

「楕円形ツール」→キャンパス上でドラッグ

超簡単「楕円形ツール」を選択してキャンパスに配置してやるだけ。カラーは予め赤を指定してやっても後から指定してやってもどうにでもなります。
とりあえず、カラー属性の「線」は「なし」、「塗り」はRGB=255:0:0の赤にしてやります。ここらへんは、あとから簡単に変えられるので適当に。

Aグラデーションを指定

「図形選択」→「カラーオプション指定」→「グラデーション」→「グラデーションの塗り」

図形がカレントに選択された状態で、カラーのオプション「グラデーション」を開き、「グラデーションの塗り」を指定してやると、「塗り」がグラデーションになります。
上図のような状態になります。


Bグラデーションの色を指定

「グラデーションの終点」→「赤を指定」

赤い球体にしたいので、デフォルトのグラデーションを変更してグラデーションの終点の黒を赤に置き換えてやります。

Cグラデーションの方向を指定

「グラデーションの種類」→「円形」

前段階では、球体にまったく見えないのでグラデーションの種類を「円形」に変更します。この時点で結構球体に見えます。

Dグラデーションの光の位置を修正

「グラデーションツール」→「中心点を指定」

右斜め上から光があたっているようにみせるために、ライトの位置を変更します。
「グラデーションツール」を選択して、始点上で左クリック→ドラッグしたままグラデーションの終点の位置までカーソールを移動させ離す。(言葉で説明するのは難しいな・・)
始点から終点のあいだでグラデーションが表示される仕組みです。

※更にこの状態で
グラデーションスライダーのタブの「位置」を変更したり、中心位置を変更したりすることでグラデーションの範囲が変更されること確認して、どんなもんか動かしてみるとよろしいかと。

Eグラデーションの影を作成

「グラデーションの終点」→「色追加(影部分)」

前段階でも割と球に見えますが、最終調整として、円の左下の明度を下げて、より球形にみえるように編集します。

「グラデションスライダー」の赤(終点の方)を選択+ドラッグして真ん中あたりに持っていくか、「位置」で50%に指定してやります。
次に、今まであった終点の位置に明度を下げた赤を配置します。色の枠をドラッグ&ドロップしてやれば、3つ目のカラーが追加されます。
(カラーはいくつでも追加可能です)これをRGB=100:0:0にしてやることで、より外側の色が指定されます。

※とりあえずこれで完成です
ここから若干の微調整が必要かもしれませんが、ペイント系のエアブラシにかかった時間が嘘のようにあっという間に球体が出来上がります。
(ちなみにフォトショでもこのぐらいの単純な図形ならば、近い手順で機械的な操作で簡単に作成できますが・・・)

【2】メッシュツール
前述のグラデーションツールは簡単で効果的な表現を可能にしますが、より複雑な図形に対しては、都合の悪いことにうまく表現できないことが多くなります。
人の顔など有機的なものをよりリアルに表現する場合は出っ張っている部分と引っ込んでいる部分をとてもグラデーションツールだけでは 表現し切れないからです。
そこでもう一つ踏み込んだ機能が「メッシュツール」というわけです。
図形に対するグラデーションの表現を細分化(メッシュ)して複数の色指定を可能にする機能といったところです。

自分は、あまりというかほとんど使用しません。
使ってみればわかりますが、図形に対して格子状のメッシュを指定、ポイントを移動して、色を指定...という操作を繰り返せば確かに
キレイ・細かくグラデーションを指定してやることができ、しかもそのデータは驚くほど軽いという利点はわかりますが・・・

わかるのだが・・そのグラデーションは、人がその理屈をすべて把握して操作するにはあまりにも複雑で、こちらが意図して出来上がった結果というにはほど遠く、
結果的にそうなったという悲しいもの。人様が意図的に操作できるレベルのものじゃないと思うんだなぁ・・
そう、顔なんかのパーツをこれで描こうとすると、もの凄く綿密に計算して色を置いていってやらないといけなくて、とてもやってられなくなり、マウスを投げつけること必至(爆)
(球体のような簡単なものはなんとか頑張れば出来ると思いますが・・)
う〜ん自分は頭が悪いのでとても無理です。使いこなしてる方、尊敬します!!
(ま、この方法がIllustratorの正当な方法なのでしょうから突き詰めるべきなのかもしれませんが・・そこまでやらにゃーならんのならフォトショを使うわと、と思うわけです。)

※で、今回、この方法で球体を作ろうと思って何年ぶりかに正面から立ち向かいましたが見事玉砕・・・悪戦苦闘の末、やはりまともなものができなんだ・・イラレで挫折するポイントはまさしくこれだと思い知らされた訳です・・どっかの参考書を見なきゃダメだなこれを理解するには(爆)


【3】ぼかし
メッシュツールが待避策として(^^;)
「ぼかし」を使うという割とのーへっどな方法があるわけです。これでもキレイにグラデができます。


@
円を描きます。(【1】の@と同じで)

A影作成

影となるパーツを作成します。
図のようにベースの色に対して明度を下げた色(ここではR:150)で若干大きめの三日月のようなパーツを作成します。
これをぼかしてやれば、うまく球体に影がついたように見えます。(B)

B影パーツのぼかし

「効果」→「ぼかし」→「ぼかし(ガウス)」→「ぼかしの半径指定」

影パーツをぼかします。
ベース図形の外に「ぼかし」領域がはみ出してますが、あとで処理をするので気にしません。
ぼかしの半径はピクセル単位で指定します。
図形の大きさや最終的な仕上がりによって求められる精度が異なりますが、ここでは粗が目立たない程度のぼかしを調整してやります。
(図は、円の直径300pxに対して、30pxのぼかしを適用しています)
図形が大きければ大きいほど、このグラデの精度は上がります。
しかし、それとともにデータが重くなりますので、余りでかい絵を描くと表示も覚束ないイラストが完成・・という事態になりますのでほどほどの大きさで。
(イラレはあとで絵のサイズを比較的自由に変えられます。ぼかしの半径を変えるのはめんどいですが・・)


Cライト部分を作成

Bと同様の操作で、光があたっている部分には白のパーツ(ここでは円)を置いてぼかしをいれます。(図はぼかした結果)
ここでは、白をおきましたが、明度を中間的に下げた色を置いてもオッケー。お好みで。


Dクリッピングマスクの作成

クリッピングマスク領域を作成します。
はみ出している「ぼかし」領域を指定した領域=クリッピングマスク領域内でのみ表示させるようにします。

ここでは、ベースの図形を複製してそれをクリッピングマスクにしています。はみ出さないようにするのが目的ですから寸分違わない領域指定が必要なわけです。
このクリッピングマスクはどんな複雑な図形に対しても指定してやることが可能です。もの凄く応用力のある機能で自分では「複合パス」「透過」とで三種の神器になってます(^^;)
(もちろん、いきなりクリッピングマスクから作ってあとから、そこにパーツをいれていくようなやりかたも可能です。 )

D-1 クリッピングマスク用のパーツを複製

「円を選択(パスを選択)」→「コピー」(ctrl+c)→「前面にペースト(同じ座標の前面にペーストされます)」(ctrl+f)

まず、クリッピングマスクにしたい領域を作成します。この場合はベースの円がそのままその領域になるわけですから、円の図形をコピーして複製を作ります。

※ここでわかると思いますが、円を選択しようと思っても、上にのせた「ぼかし」のパーツが邪魔をして、そのパーツを「ロック」(ctrl+2)してやるか、
レイヤーを開いて(上図の状態)対象の「パス」を選択してやらないと操作できないと思います。この状態はパーツが多くなると更に煩雑になってくるので、
自分は、このクリッピングマスクの作成を普段はAの前にやってしまいます。(また、ぼかしたパーツやクリッピングマスクしたグループは「ロック」する癖をつけてます)

D-2 クリッピングマスク領域作成

「円を選択」(両方とも選択)→「右クリック」→「クリッピングマスクを作成」

ベースの円と複製した円を選択して「クリッピングマスクを作成」を実行します。


「ばかし図形(パス)」→「グループ内に移動(クリッピングパスの下に配置)」

実行すると選択した円がグループ化されて、中身が「クリッピングパス」と「パス」(オリジナルの円)の二つになっていることがわかります。

この結果、このグループ内のクリッピングパスの下にある図形はすべて、クリッピングパス内のみ表示され、その領域外はみえなくなりなります。
いわゆる「マスク」されている状態になります。
ここに影やハイライトとしてぼかしたパーツをサンドしてやることではみ出していた「ぼかし」が見えなくなります。
(ぼかしたパスを「レイヤー」でドラッグ&ドロップしてやると簡単に個別のパスの位置を変更できます。)


E最終調整

最終調整をして完成です。
影とハイライト部分にメリハリを付けるために、R=50の影(ぼかし)を重ね、ハイライト部分には更に白(ぼかし)を配置してやりました。


※尚、これくらい単純な図形なら【1】の方が簡単にしかもキレイに出来ますが、こちらの方が応用力があるということはわかって頂けたとおもいます。
また、ベースの図形へのグラデーションと併用・使い分けして、実際は作業を効率的に行います。


【4】その他
フォトショのところでも触れましたが、レイヤーに対して「覆い焼き」や「スクリーン」などの効果を指定してやってうまく影付けをする方法も一般的です。
フォトショからお絵かきをの門を入るとこっちの方をマスターしている人の方が多いですね。てか王道??
自分は、イラレで本格的に絵を描き始めたのでそういうやり方は後で知りました。
ほんとはこっちの方が楽なのかもね。

長文ありがとうございました〜とりあえずこの方法でディズニー塗りへ突入ですぜ〜(え?、フォトショの方が楽だって・・それを言っちゃおしまいよ!)

 

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